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ロシア政府はトランプ関係者を使って選挙に干渉した

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ロシア政府はトランプ関係者を使って選挙に干渉した

国家情報長官室が発表した諜報機関コミュニティの2020年大統領選挙の報告が公表されました。要点は以下の3点です

  • ロシア政府はトランプを勝たせるためにエージェントを使い、バイデンがウクライナと怪しい関係があるという話を拡散させた。ロシア政府は、著名なアメリカ人、アメリカのメディアを使い、情報の出自がロシアであるということを隠匿した。ロシア政府のエージェントは、トランプ政権の関係者と面会し、作戦に作戦に使うための資料を提供した
  • イラン政府は、トランプの再選を望まず、アメリカ内の争いを激化させるためにソーシャルメディアなどを通して活動を行った。イラン政府の活動はトランプの政敵を支持するものではなく、アメリカ内を混乱させ、イランから目をそらさせるためのものだった。
  • 中国政府は選挙に干渉しなかった。中国政府は、選挙への干渉を検討したものの、どの候補が勝とうと中国への姿勢には大きな変化はなく、干渉を行うリスクに見合った利益がないと判断した。
  • いずれも選挙の投票自体を変更するものではなかった



ロシア政府の選挙干渉

プーチン大統領は、トランプの再選がロシアにとって好ましいと判断し、一貫してトランプを有利にするように干渉作戦を行ったとアメリカ政府諜報機関が結論付けました。ロシア政府の干渉作戦は当時候補であったバイデンと民主党を貶め、トランプを有利にするように印象を操作するものでした。

ロシア政府は、アンドレイ・ダーカッチ、コンスタンティン・カリムニック、その他の諜報員を使い、バイデンとその家族がウクライナで怪しい活動をしたという印象を持たせるために活動しました。この作戦は、アメリカ国内の著名な人物やメディアを使ってロシアの干渉作戦ではなく、本当にスキャンダルがあるように見せかけるものでした。また、ロシア政府の諜報員はトランプ政権の関係者と面会し、この人物にこの干渉作戦に使う材料を提供しました。

この報告書では具体的にアメリカ人の氏名は明かされていませんが、内容から見るにトランプの弁護士だったルドルフ・ジュリアーニが主だって活動し、Fox Newsなどの保守系メディアが拡散していた、バイデンの次男、ハンターが役員をしていた「ブリズマ」というウクライナのエネルギー会社と、それを守るためにオバマ政権時に副大統領だったバイデンがウクライナに圧力をかけたという根拠のない主張についてのようです。

ルドルフ・ジュリアーニは2019年12月にロシア政府のエージェント、アンドレイ・ダーカッチと面会し、バイデンの「スキャンダル」に関する情報の提供を受けました。

アメリカ政府諜報機関の報告によると、ロシア政府はまた、ソーシャルメディアアカウント、ニュースサイトなどを通してバイデンとその息子、ハンター、民主党を貶め、トランプを称賛する投稿・記事などを拡散しました。これらの集団は、ディベート、選挙結果、トランプの弾劾などについてトランプを支持する内容の投稿を行い、同様の内容を拡散しました。

ロシア政府が運営したこれらの集団は、例外なく、バイデンと民主党を貶め、トランプを礼賛するようなものでした。



プーチンと命令で活動するこれらの集団はまた、アメリカの選挙結果に疑念を植え付けるために選挙期間中から「郵便投票は不正につながる」という内容の印象操作を行うための投稿を行い、このような疑惑を拡散しました。

選挙が終わった後もロシア政府の活動は続いており、選挙に不正があったという陰謀論の投稿・拡散や、バイデン大統領と民主党を貶める投稿をおこなっています。

 

イラン政府の選挙干渉

イラン政府は最高指導者ハメネイの指示のもと、アメリカ国内に混乱をもたらすために活動しました。イラン政府はトランプの再選を好まず、アメリカ国内の対立を悪化させ、混乱をもたらすためにソーシャルメディアやウェブサイトを使用して活動しましたが、トランプの政敵を支持するような行動はありませんでした。

イラン政府の活動は一例として、差別団体プラウド・ボーイズから民主党支持者を脅すように見せかけたemailを送信したり、選挙不正があったと主張する動画を投稿したりしました。

また、選挙の後は不正があったという陰謀論を拡散し、選挙管理官などへの殺害予告などを含んだサイトを運営したりしました。

 

中国の不干渉

中国政府は、アメリカの選挙への干渉を検討したものの、トランプとバイデン、どちらが勝っても中国に対する姿勢に大きな変化はなく、リスクを冒すのに見合った利益がないと判断して干渉を行いませんでした。

中国は、トランプが勝利した場合は貿易などで経済的な損失を被ることがある一方で、トランプがアメリカの同盟国との関係を悪化させるために中国に利益になる点もあると判断しました。一方で、バイデンが勝利した場合はアメリカの行動はより予想しやすくなりますが、アメリカの同盟国との関係が強化されるため、長期的にはより大きな脅威になると判断しました。

中国政府にとっては、トランプもバイデンも一長一短であり、アメリカとの関係をこれ以上悪化させてまで干渉を行うメリットはないと判断しました。

 

その他の国家・集団

ベネズエラ、キューバやヒズボラなどのその他の国家・集団もアメリカの選挙への干渉に興味をしめしたり、試みたりもしましたが、干渉を及ぼすほどの能力がなかったなどの理由であまり影響はありませんでした。

 

 

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