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陰謀論弁護士訴訟、全部棄却

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陰謀論弁護士訴訟、全部棄却

CIAがかかわっているベネズエラが開発したテクノロジーでバイデンが不正に選挙を勝利したなどという意味不明な陰謀論を展開し、トランプ選挙部からすぐに追い出されて今では自分の訴訟を「クラーケン」と呼んで陰謀論者を喜ばせているシドニー・パウエルの訴訟にアップデートがあります。

スペルミスや基本的な文法ミスから、まったく意味不明な証言、果ては他人の名前を勝手に原告に使ったりなど、信者にはかない希望を与えて寄付金を巻き上げる以外の目的はなさそうな陰謀論弁護士、シドニー・パウエルが提出した訴訟は全部で4つあります。

アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ウィスコンシンです。原告になることを同意していない人を勝手に使ったウィスコンシンのケースや、「ミサイルデータの分析経験もある専門家」を自称する正体不明のあだ名「Spyder」という人の証言を引用したジョージアのケースについてはこのブログでもこれまで少し解説してきました。アリゾナ、ミシガンとジョージアも棄却されました。最後のウィスコンシンのケース(勝手に名前を使われた人を修正した)が棄却されて終わったので、ここで少し書きます。



この裁判の概要は、大規模な不正があったから選挙結果を無効にしろというものです。

判決文はこう始まります:

「2020年12月1日8:24AM、11月3日の大統領総選挙の20日後、ドナルド・トランプ大統領がデーン郡とミルウォーキー郡で再集計を申請してから13日後、そしてジョー・バイデンとカマラ・ハリスの勝利が州に認証されてから1日後…二人の原告がウィスコンシン東区の連邦裁判所にこの訴訟を提出しました。州の選挙に関する管轄は州法だというのに」

*州法と連邦法は異なり、連邦裁判所は連邦法(と合衆国憲法)について判決を下します。大統領選挙というのはアメリカ全体での一つの選挙ではなく、50州とDCそれぞれの別々の選挙の集合で、それぞれの州によって規則は異なります。

「連邦判事が(選挙結果を無効にする)判決を下すことができるのでしょうか?答えはノーです。この国では、連邦判事は大統領を決定しません。なぜ原告が連邦判事にそうするように請願したかは不思議なことです」



この裁判では陰謀論弁護士は他人の名前を勝手に使ったり、ミシガン州のデトロイトで票の開票が行われたTCFセンターの監視カメラの映像を要求したり(この裁判はウィスコンシンのものです)、よくわからない証人を使ったりと様々な馬鹿げた行動を続けていましたが、そもそも連邦裁判所は管轄外ということで棄却されました。だからといって陰謀論弁護士の主張がまともだったというわけではありません。

他人の名前を無断で使ったりミシガン州の開票所の映像をウィスコンシン州の裁判で要求しただけはありません。この訴訟で陰謀論弁護士パウエルらは「第七巡回控訴裁判所(ウィスコンシンなどが管轄の控訴裁判所)のSwaffer v. Deinigner の判例」を引用して、選挙結果はまだ覆せるということを主張しました。

判事は判決でSwafferは第七巡回控訴裁判所の判例ではない上に(ウィスコンシン東区連邦裁判所のものでした)、陰謀論弁護士が引用した文はこの判例のどこにもなく、捏造されたものであると指摘しました。

「この裁判所はSwaffer判決のページ4を3回も読みましたが、該当する内容は発見できませんでした」


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