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オカシオ-コルテス: 私は死ぬと思った

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オカシオ-コルテス: 私は死ぬと思った

アレクサンドリア・オカシオ-コルテス下院議員がInstagram Liveで1月6日の議事堂襲撃での経験を話しました。

トランプは12月から支持者に議事堂へ行進して議員に選挙結果を覆すように圧力をかけることを呼び掛けており、1月6日の議事堂襲撃の1週間ほど前からすでに、トランプ支持者が1月6日の選挙人票開票日に議事堂に集まるから気を付けるべきだと同僚から注意されていました。

水曜日の議事堂襲撃の二日前の月曜日にオカシオ-コルテスが自動車で通勤すると、腰ほどの高さの金属のフェンスがありますが、それ以外にはさほど厳重な警備がないことに驚きます。すでにトランプ支持者は集まって旗をたてています。トランプ支持者はそこから、「なんでアメリカが嫌いなんだ」「運転ができるとは驚きだな」などと叫んでいます。



その日は帰宅してスーパーで買い物に行きました。スーパーにもトランプ支持者が何人かいて、不穏な空気を感じ取ります。

翌日の火曜日、通勤の途中で歩いて議事堂に向かっていく同僚を見つけた彼女は、彼らを車に乗せて議事堂に向かいました。議事堂につくと、昨日よりもさらにトランプ支持者の数が増えてマイクなども設置されています。帰宅途中でカギをオフィスに忘れたことに気づいて彼女は議事堂に引き返しました。

すでに議員が帰宅していつもは人気のない議事堂ですが、その日は何人かが彼女が議事堂に入る姿をじっと見ていました。念のため、遠くから見ただけでは議員とわからないように議員バッジを外しました。

その日もスーパーに抹茶ティーを買いに行くと、またトランプ支持者がいました。今日はオカシオ-コルテスをじっと見て、何か行動を起こそうか決めかねているようです。彼女は外出は危険だと考えて、その日はすぐにアパートに戻って、外に出る必要があるときはパートナーに頼むことにしました。

不穏な事態になっていると感じた議員は彼女だけでなく、複数の議員が議会警察に翌日の選挙人票開票日の警備に問題はないか問い合わせました。議会警察の回答は、警備計画は万全だが、保安上の理由により詳細は公開できない。ただ、翌日は9:00までに議事堂に来るようにとのことでした。

当日

選挙人票開票日当日、オカシオ-コルテスは友人のアヤーナ・プレスリー下院議員とカープールして、少し遅れて9:30頃に議事堂につきました。議会警察に言われて早く出勤しましたが、選挙人開票まではまだ何時間もあります。コロナウイルス対策で彼女の事務所では仕事を全てリモートで行いますが、重要な法案などの場合はスタッフ一人だけ、来てもらいます。彼女の法案部長が出勤してオフィスにいました。

まだ審議まで何時間もあるため、議員用のワクチンの二回目接種に行くことにします。時間は正午です。議員会館から出て議会医務官のオフィスでワクチン接種を終え、15分間の観察期間を無事に終えて、腕の痛みを感じながら議員会館に戻ります。トランプや共和党が選挙結果を覆そうとしたために本来なら単なる儀式の選挙人開票のために法案部長をわざわざ出勤させなくてはいけなかったことのお詫びに、ちょっと良いランチを注文することにします。

リモートの首席補佐官から電話がかかってきました。「どんなきぶんですか?」と聞かれて「昨夜ワーノックとオソフがジョージア上院選決選投票で勝ったからすごく良い気分よ」とオカシオ-コルテスは答えました。電話を終えたころには1時を少し回っています。議事堂の襲撃が起こったのはこれから15分ほど後のことでした。



彼女は法案部長のために良いランチを携帯電話でえらんでいると、急にドアがバンバン叩かれました。誰かが力いっぱいドアをたたき破ろうとしているかのようです。ドアをたたいている人は一言もしゃべりませんでした。彼女はすぐに法案部長の事務室に向かいます。法案部長は「隠れろ」と言いました。

彼女のオフィスの事務所の奥にクローゼットとトイレがあります。彼女はトイレに駆け込んでドアを閉めました。彼女はトイレに入ってすぐ、クローゼットに隠れるべきだったと気づきました。急いでドアを開けてクローゼットに行こうとしましたが、その瞬間に事務所へのドアが破られた音がしました。

もうクローゼットに行く時間はないので、彼女はトイレのドアの裏に隠れます。入ってきた誰かが「どこだ!」と叫んでいます。この瞬間に彼女は死を覚悟しました。

ドアのヒンジの隙間から除くと男性が一人来て叫んでいます。法案部長が出てきて大丈夫だと言いました。この男性は議会警察のようですが、本来なら二人ペアで行動するはずが単独行動をしており一度も議会警察とは言いませんでした。彼の眼には怒りが宿っているようです。彼女は当時、おびえていたから勘違いしたのかと思いましたが、あとで聞くと法案部長もこの議会警官が異様な敵意を発していると思い、警戒していたと思っていました。

この議会警官は「〇〇ビルへ迎え」と叫びました。この警官は彼女についてこなかったたので、法案部長と二人で走って○○ビルに向かいましたが、ついた段階でこの建物のどの部屋に行けばいいのか議会警官が一言もしゃべらず、ただこのビルに行けと言われただけだと気づきました。この頃には既にトランプ支持者が議事堂本館を破ろうとしており、彼女と彼女の法案部長がいたこのビルも破ろうとしていました。

建物を守ろうとしている警官隊とトランプ支持者が衝突していますが、トランプ支持者が突入するのは時間の問題のようです。彼女は、知り合いの議員がこの建物の5階にオフィスがあったことを思い出してそこに向かいます。5階を一周しましたが、彼女のオフィスはありません。Googleで調べたところ、彼女のオフィスは5階ではなく1階です。下院進歩会派のミーティングがいつも5階で開かれていたので、オカシオ-コルテスは記憶違いをしたようです。すぐに法案部長と二人で大急ぎで登ってきた階段を駆け下りで1階に向かいます。降りるにしたがって叫び声が大きくなっていきます。

急いでオフィスに行ってドアをたたいてもオフィスが空きません。ケイティ・ポーター下院議員を見かけたので、彼女のオフィスに避難させてもらいました。この時点で、オカシオ-コルテスは先ほど死を覚悟したばかりで、この瞬間にも銃を持った暴徒が現れるかと思っておびえていました。一方のポーター下院議員は、状況をよく把握できていないようでコーヒーを飲んで落ち着いています。

彼女はポーターのオフィスに飛び込んで、オフィスが破られた場合に隠れる場所を探しています。オカシオ-コルテスはポーターにスタッフの着替えを貸してくれないかと頼みます。議会には備え付けのジムがあるため、スタッフがオフィスに運動着を置いていくことはよくあります。この時、オカシオ-コルテスはハイヒールだったので、いざというときに走れるように着替えを探しています。一方で、オカシオ-コルテスの法案部長とポーターのスタッフは家具ををドアの前に押してバリケードを築いています。

日暮れがかなり早くなっているので、暗くなる前にオフィスの明かりを消します。暴徒に気づかれないためです。民主党ビルと共和党ビルで爆発物が発見されたという情報が入ってきました。議会ビルのどれかに爆弾が仕掛けられた可能性も考慮する必要があります。



後から明らかになったことですが、オフィスから避難する際は催涙ガス用のマスクなどの緊急装備を持ち出す必要があります。彼女のオフィスを訪れたあの議会警官は何一つ言いませんでした。彼が行くように指示したビルは避難先ではありませんでした。

 

ポーターの証言

ポーターもオカシオ-コルテスが避難先を求めてきたことを明瞭に覚えています。ポーターによると、オカシオ-コルテスは極度に礼儀正しく、オフィスに入るとほとんど話さずに他の部屋へのドアをあけて回りましたポーターが「何してるの?」と聞くと、オカシオ-コルテスは「隠れる場所を探しています」と答えました。

ポーターの記憶に焼き付いて忘れないのは、ポーターが「私は母親だからここに一ヶ月立てこもれる備えはあるわよ」とオカシオ-コルテスに話しかけると、彼女は「生き延びていつか私も母親になりたいです」と答えたことです。また、オカシオ-コルテスが「ハイヒールを履いてくるべきではなかった。いざというときは走れないわ」と言ったことです。

こうしてカーテンを閉め、明かりを消して、真っ暗になったポーターのオフィスに6時間ほど息をひそめて隠れました。

 

議会の警備

議会の警備には様々な不手際があったことがわかっています。FBIが議事堂襲撃の可能性について警告していたにも関わらず、支援要請は出されませんでした。勇敢に議員らの命を守った議会警官がいた一方で、議事堂襲撃の際に暴徒とセルフィーを取るなどしたり、シューマー院内総務のを案内するなどした議会警官がいた疑いがあります。

また、アヤーナ・プレスリー下院議員のオフィスでスタッフがバリケードを築き、オフィスの中にある非常ボタンを押そうとしました。しかし、非常ボタンは全て無効にされていました。プレスリーと首席補佐官のサラ・グローが後に議会警官に警護されて避難させられた時、警官にも警戒していました


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