選挙システム会社、ドミニオンはアメリカ第二の選挙システムベンダーとして複数の郡に選挙システム機器などのサービスを提供しています。
トランプとその支持者がトランプの敗北を受け入れるのを拒否する中で、ドミニオンは陰謀論者の標的になり、一時期トランプ選挙部に迎え入れられすぐに追い出されたシドニー・パウエルや、リン・ウッドと言った弁護士がこの意味不明な陰謀論を極右番組などで繰り返していました。
この陰謀論は10年以上前にがんで死亡したベネズエラの元独裁者とCIAがドミニオンの設立にかかわっていたとか、ドイツにあるサーバーを特殊部隊が襲撃したとか、頭のおかしい人しか信じない意味不明なものです。
ドミニオンはカナダで設立された会社で、当初はカナダ内で活動をしていましたが、アメリカのエクイティ会社に買収されてからアメリカでもビジネスをするようになりました。ドミニオンのシステムの票を書き換えるのは会社自体にも不可能ですし、そもそも投票用紙事態はそのまま保管されるので、ジョージア州での再集計でそうだったように、システムの記録と投票用紙などの物理的な記録を合わせられるので、票を変えるのは不可能です。
さて、陰謀論弁護士が起こした意味不明な訴訟は全て棄却され、ファクトチェックでこの陰謀論は全て否定されていますが、この意味不明な陰謀論を信じたトランプ支持者らが州の選挙管理委員会や州務長官、州知事や果てはドミニオンの社員やその父親にまで手書きの殺害予告を送る事態にまで発展しました。
社員はソーシャルメディアに顔写真などの個人情報を公開されたり、隣人や友人、場合によっては家族からも関係を切られたり、嫌がらせを受けたりするようになりました。ドミニオンの設立者でCEOのジョン・ポウロスも義理の家族から「ベネズエラ発祥なのか」と言われました。
トランプの陰謀論にけしかけられた脅迫によって選挙関係者などが身を隠す必要に迫られています。選挙システム会社のセキュリティ部門長は、当初はtwitterなどでの殺害予告だったがすぐに電話、テキスト、父親の家にまで民兵組織からの手書きの脅迫が届くようになったと避難先からAPに話しました。 https://t.co/BxqnoPMWq9
— アメリカ政治 (@America_seiji) December 3, 2020
この陰謀論の被害にあったドミニオンと、同じく被害にあった選挙システム会社スマートマテックはこのような陰謀論を拡散させていた極右チャンネルなどへの名誉棄損の訴訟準備を進めていました。
そして、手始めにドミニオンはこの陰謀論を広めていた元トランプ選挙部法務部弁護士で自分の訴訟を「クラーケン」と呼び、トランプ支持者にフロリダ州の私書箱に小切手で寄付を送るように呼びかけていたシドニー・パウエルがドミニオンの名誉を棄損し、著しい損害を引き起こしたとして、13億ドル(日本円で約1,300億円)の損害賠償を求める訴訟を起こしました。
ドミニオン側は示談にする気は一切ないとしています。また、パウエルへの訴訟は第一歩としているので、他の人・団体へも訴訟を提出する可能性を示唆しています。
追記:ドミニオンはトランプ個人弁護士でもあったルドルフ・ジュリアーニも名誉棄損で訴え、13億ドルを請求しています。ドミニオン側はジュリアーニは嘘だと知りながら、トランプ支持者を怖がらせて、アフィリエイト販売の収入のためにYouTubeチャンネルのスポンサーの商品を宣伝するなどしたと主張しています。
ドミニオンは、パウエルやジュリアーニ以外への名誉棄損の準備も進めていると話しました。
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