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アメリカの極右と中国とロシア

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アメリカの極右と中国とロシア

民主党を「共産主義者」、バイデンが「中国に支配されている」と言い、Twitterがトランプのアカウントを閉鎖したことを「独裁国家のようだ」という人たちと、文字通り表現の自由がない強権主義国家である中国やロシアとの相性は悪そうですが、必ずしもそうではないようです。

差別的な投稿や暴力を称賛する投稿、選挙に関する投稿をして特にトランプ支持者の議会襲撃の後、白人至上主義者やQanon陰謀論者などがソーシャルメディアを離れました。Twitterアカウントを閉鎖されただけなら暗号チャットアプリのTelegramなどに移ればよいだけですが、AWSから契約を解除されたParlerや様々なオンラインインフラストラクチャサービスを必要とするウェブサイトはそうはいきません。



しかし、彼らには救世主がいます。中国とロシアです。ユダヤ人や有色人種を攻撃し、サイト内に「アメリカの白人率カウンター」を設置してる白人至上主義サイト、デイリー・ストーマーの創始者、アンドリュー・アングリンはParlerにこうアドバイスしました

「メディアから攻撃されていて表現の自由を求めているのならば、中国企業かロシア企業以外でサービスを提供してくれるところはないぞ」

実際、デイリー・ストーマーは中国のDNSサービスを利用しています。アングリンは続けて「私にとって、ホスティングサービスを探すのはさほど難しくない。今までずっと、親中華人民共和国だったからだ。少なくとも反中華人民共和国ではない」一方で、かれは中国に批判的な右翼は「あまり歓迎されないだろう」と警告しました。

Parlerはロシアのサービスを使って復活を図っています。このサービスは、Qanon陰謀論者の住処となっている匿名掲示板サイト8kunが使っていたものと同じロシア企業のものです。

興味深いことに、自国で表現の自由を制限し、マイノリティを弾圧する全体主義国家の政治家は右派界隈では必ずしも不人気ではありません。

トランプがロシアのプーチン大統領への批判を一切拒否していた前後から、共和党支持者の間でロシアとプーチンの好感度が上昇するという事態が起こっています。世論調査によると、共和党支持者のプーチンへの好感度は2015年から2017年のたった2年間で倍になりました。



これは他の強権的な政治家にも共通しますが、プーチンも例にもれず「マッチョ」なイメージを投影しようとします。半裸で馬に乗ったり、銃で狩猟をしたりといった写真は見たことがあるかもしれません。こういった、「敵」から「ロシアを守る」と「タフな男」というイメージは、この記事でも解説したようにトランプ支持者がトランプに投影するイメージに共通します。

そして都合の良いことに、ロシアや中国ではアメリカで差別主義者をいら立たせる「マイノリティの権利向上」などというものは(政府レベルでは)存在しません。むしろ積極的に抑圧されます。

白人至上主義者で流暢な日本語を話すジャレッド・テイラーや、同じく白人至上主義者リチャード・スペンサーが「人種・文化的に均一」と度々送る日本への称賛は、そのまま(マイノリティを弾圧するため見かけ上は均一の)中国にも当てはまります。


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